ディフェンスの戦術
ディフェンスの究極の目的は「点を取られないこと」です。この目的から逆算してディフェンスの戦術が導き出されます。
ディフェンスの戦術は、組織レベルと個人レベルの二種類に分けられます。
組織的なディフェンス戦術は各チームごとに異なりますが、それらを理解して実行するには、個人レベルにおけるディフェンスの基本戦術を理解する必要があります。
個人のディフェンス戦術において、優先順位を理解しておくことはとても重要です。
基本的には「ボールを奪う → 前を向かせない → 攻撃を遅らせる」という考え方になりますが、さらに細分化すると以下のとおりです。
- インターセプトを狙う。
- ファーストタッチの瞬間に奪う。
- ボールキープ時に奪う。
- 前を向かせない。
- ディレイ(遅らせる)ためのプレスをする。
- パスコースを限定させる。
実戦においては例外的なケースもありますが、基本として理解しておきましょう。
ディフェンスのポジショニング
ディフェンスのポジショニングの基本は、ボールや相手と自陣ゴールを結んだ直線上に立つことです。
このポジションをとることで、相手のシュートコースを小さくし、ドリブルやパスによるバイタルエリアへの侵入を防ぎます。
まず、ボールホルダー以外の相手をマークする場合は、ボールとマークが同時に視野に入る体の向きを保ちながら、いつボールが来てもインターセプトできるポジションをとります。
間合いの取り方
ボールを持った相手の場合は、その間合いの取り方も重要です。
前に一気に詰め過ぎると一発でかわされて置き去りにされてしまいます。
かわされて背後をつかれることだけは絶対に許してはいけません。
しかし、だからといって間合いを取り過ぎると、相手にはプレッシャーがかからず、容易にパスやシュートを許してしまいます。
相手との相対的な速さによって、自分の対応できる範囲が異なりますので、間合いの取り方はケースバイケースです。
基本的に自分と比べて速い選手ほど、一瞬でかわされないよう間合いを大きくとる必要があります。
しかし、突破されることを恐れて距離を取り過ぎると、相手にプレッシャーがかからず、自由なプレーを許してしまいます。
プレーエリアやチーム戦術にもよりますが、時には勇気を持って間合いを詰めることも必要です。
こちら四中工のディフェンス練習動画が分かりやすいです。
相手の利き足を抑える
また、ジュニア年代では顕著ですが、相手をかわして抜く方向が選手によって左右どちらかに偏っているケースがあります。
たいていは、利き足と反対側の方へ抜くのが苦手な子どもが多いようです。
ですから、やや相手の利き足側にポジションをとって、意図的に苦手な方へ誘導するとディフェンスしやすくなります。
※あくまで一般的な1vs1の場合で、状況によって異なるケースもあります。
また、そのようにディフェンスすると、シュートやパスも利き足では打ちづらくなるので、精度や威力も落ちることになるでしょう。
ディフェンスのテクニックとコツ
ディフェンスの姿勢
ディフェンスの姿勢における基本的なポイントは5つあります。
- 片足を前に出して半身になる。
- 肩幅くらいに足を開く。
- 膝を軽く曲げておく。
- 重心は体の中心におく。
- 体重は指の付け根あたりにかける。
この姿勢なら、相手に裏(背後のスペース)を取られそうになったとき、あるいは取られてしまったときにも、素早く反応できるからです。
なお、あまりガチガチに考えすぎて体を硬直させてしまったら逆効果です。
あくまでも相手の動きに素早く反応するための姿勢なので、全身をリラックスさせておくことが大前提となります。
また、相手の速さによって、半身になるときの角度がやや異なります。
ドリブルスピードの速い相手ほど、裏を取られた時に素早く反応できるよう、相手に対して両足の位置が縦に近くなります。
半身の姿勢の注意点として、角度が横向きになればなるほど、お腹側への対応がしやすくなる反面、背中側への対応が難しくなります。
下半身は斜めでも、上半身は相手に対して正面を向くようにしましょう。そうすることで、背中側へも素早く反転できます。
ボールを奪う際の体の入れ方
ボールホルダーからボールを奪うには、相手とボールの間に自分の体を入れるのが基本です。
タイミングは一瞬だけ。相手の足からボールが離れた瞬間を見逃さずに、素早く相手とボールの間に体を入れます。
ボールが足から離れたらすぐ体を入れられるよう、相手との適切な間合いをキープしつつ、素早いステップで一瞬のうちに動けるクイックネスが必要です。
その際には、足だけで取りに行こうとするのではなく、体全体でボールを自分のものにするといったイメージを心がけるとよいでしょう。
実戦では基本通りにディフェンスしないことも
なお、実際の試合では、必ずしも基本通りとは限りません。
- 相手が前を向けるよう片方だけわざと隙を見せておいて、そちらから振り向こうとした瞬間にボールを奪う。
- 相手陣地では、スタミナの消耗を防ぐため、無理にプレスにいかない。
- 一つだけわざとパスコースを空けておいて、そこにパスした瞬間、味方がインターセプトを狙う。
- ポジショニングをわざと基本位置より左にずらしておいて、相手を右に誘導してボールの奪いやすいところへ追い込む。
このように相手とのかけひきやチーム戦術によって、あえて基本通りにやらないケースも多々ありますが、まずはしっかりと基本を身につけることが大切です。
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