フェイントの練習法
フェイントを修得するにあたっては、このような手順を踏むとよいでしょう。
- 様々なボールタッチの練習を繰り返す。
- 相手を想定して1人でフェイント練習する。
- 相手をつけてフェイント練習する。
ボールタッチの練習メニューの中にはフェイントの動きが含まれているものもあるので、このボールタッチを繰り返すだけで、自然にフェイントができてしまうこともあります。
さらにフェイントをマスターするにあたっては、フェイントの種類ごとに一連の体の動かし方を覚えるようにします。
これは1人で行いますが、相手を想定してマーカーコーンなどを置いてもよいでしょう。
ある程度動きをスムーズにできるようになったら、相手をつけて間合いやタイミングを覚えていきます。
フェイント練習を繰り返しても、実際の試合で使えることもあれば使えないこともあります。もちろん、実戦で使えるようになることが最も望ましいですが、その点はあまりこだわる必要はありません。
中学生以上となると話は別ですが、少年期のフェイント練習は、多様な体の動かし方やボールの扱いに慣れるということだけでも、十分に意味のあることだからです。
むしろ実戦でも使えるフェイントが3つぐらい身につけば、練習の成果は十分にあったと言えるでしょう。
フェイントのコツ
あらゆるフェイントに共通するコツは3点あります。
相手の足がギリギリ届かない間合いで
相手の意表をついてだますつもりで
抜き去る際にはトップスピードで
技をスムーズに行うことと同時に、この3点を意識すると実戦ではより効果的です。
基本的なフェイントの種類
サッカーのフェイントは数多くありますが、中には見せることが目的で実戦的でなかったり、難しすぎるものもありますので、ここでは、試合でも使える基本的フェイントに絞って、それぞれのやり方とコツを紹介します。
シザース
アウトサイド(小指側というと子供には分かりやすい)からボールをまたいで、逆足のアウトサイドで斜め前に押し出します。
足をボールの真上ではなく、ボールの周りに半円を描くように低く動かします。
ステップオーバー
シザースとは逆に親指側からまたいで、着地した後、またいだ足のアウトサイドで斜め前に押し出します。
またいだ後の足の運びが分からない子には、「またいだらトントーンしてからアウトサイドで押し出すんだよ」と言うとできるようになります。
ダブルタッチ
1タッチでボールを横に動かし、2タッチはもう片方の足で逆方向もしくは前方に弾くようにタッチして運びます。
使う足の部分は、足裏からインサイド、インサイドからインサイドのどちらでもOK!
1タッチ目で大きく横に動かし、1タッチから2タッチを間髪入れずリズミカルにボールを動かします。
クライフターン
オランダの名選手ヨハン・クライフが得意としていたターン。
キックモーションから蹴り足をボールの外側に回りこませて、インサイドを使って軸足の後ろにボールを通し、体を進行方向へターンします。
軸足でボールをガードする形になるので、相手から取られにくいというメリットがあります。
キックモーションを大きくとって、相手の重心を傾かせるとうまくいきます。
ボディフェイント
体を左右に振ることで相手の重心を一方に傾けさせて、踏み込んだ足とは逆足でボールを押し出して抜いて行きます。
ボールに触らないフェイントなので、初心者にもマスターし易いです。
体を大きく速く動かすことがポイントです。片足でしっかり踏ん張ることで、相手を惑わすことができます。また、ボールばかり見るのではなく、顔を上げて相手の重心をよく見て、かわせないようならもう一度フェイントをかけてもよいでしょう。
ルーレット
フランスのジダンが得意にしていたので、マルセイユターンとも言われています。
敵の前で足裏でボールを押さえ、ボールを引きながら背中側から回転します。もう一方の足裏でボールを押さえ、ボールを引きながらさらに体を回転させます。
ボールをブロックしながら相手をかわすことができるので、非常に取られにくく実用的なフェイントと言えます。
相手との間合いとボールタッチを誤らなければ高い確率で成功するので、反復練習あるのみです。
エラシコ
ロナウジーニョの得意技。
アウトサイドで軽くボールを押し出して、足がボールから離れる前にボールの外側に同じ足を滑り込ませます。そのままインサイドでボールを引っ掛けて縦に弾きます。
2タッチ目のインサイドでボールを戻すのが難しいので、慣れるまでは1タッチ目のアウトサイドを小さくします。また、体を沈み込ませるようにすると、踏ん張れて2タッチ目ができるようになります。
マシューズフェイント
一方へボールを運ぶと見せかけて、アウトサイドタッチで逆方向へ抜ける技です。
軸足のヒザを軽く曲げてしっかり全体重を支えて、体がぶらつかないようにします。次の瞬間、その反動で逆方向へ一気にダッシュ!
比較的簡単にできる割に実用性が高いので、是非実戦で試してみましょう。
相手のバランスをフェイクの方向へ傾かせるために、大きなボディアクションを見せることがポイント。
その他のフェイント技
フェイント技は他にもたくさんあります。すべてをマスターする必要はありませんが、やってみたい技があれば積極的にチャレンジしてみてください。
どんなフェイントが得意かは人ぞれぞれです。他の人がやらないようなフェイントでも、自分がやりやすいと思うなら繰り返し練習してマスターすれば、きっと自分だけの武器になるでしょう。
股抜き
相手の股間にボールを通すフェイント。
自分は前に進めばいいですが、相手にとっては真後ろのボールを追うために180度ターンしなければならないので、成功すればほぼ確実に自分のボールにできます。
相手の足が開くタイミングの見極めがポイント。わざとボールをさらして足を出してきたタイミングを狙ったり、動かしたボールに合わせて横にステップを踏んだところを狙うことが多い。
裏街道(メイア・ルア)
ボールを相手の脇を通すように裏へ蹴りだし、その勢いのままボールを通した反対側のサイドから相手をかわして先にボールに追いつくフェイント。
相手の裏にスペースがある時に有効です。
動きが読まれたりダッシュ力に欠けると、逆にボールを取られてしまう可能性もあるので、相手のスピードの見極めが必要です。
逆エラシコ
エラシコとは逆の動きで、インサイドでボールを動かして相手の重心を傾けさせておいて、アウトサイドで逆に抜けます。
足首のスナップを効かせるイメージで、インサイドからアウトサイドに切り替える際にはボールをなめるように足を動かします。
オコチャダンス
元ナイジェリア代表MFオーガスティン・オコチャが多用したフェイント。
足裏で斜め前にボールをボールを転がし、すぐに逆足でステップオーバー、そのまま逆足でタッチして相手を抜き去ります。
ステップオーバーで相手の動きを一瞬止めることがポイントです。
ドラッグバック
足裏でボールを引きながら体の向きを90度外側に変えて、引いた足でボールを前に出しダッシュ。
ネイマールが使うドラッグバックは、動画のように引いたボールを軸足の裏を通してさらに切り返す応用技。
事前にキックフェイントを入れるとさらに効果的です。
シャペウ
ロナウジーニョやネイマールなどのブラジル選手がよく使う浮かし技。足首のスナップで相手の頭上を越してかわします。
シャペウとはポルトガル語で帽子を意味し、相手の頭に帽子をかぶせるイメージから、そのように呼ばれています。
ヒールリフト
こちらも浮かし技の一種。両足でボールをはさんで浮かし、片足のヒールで弾いて相手の頭上を越してかわします。
ネイマールが2015年のコパ・デル・レイ決勝のアスレティック・ビルバオ戦で見せたヒールリフトを、相手DFが「屈辱的」と激怒した事件もありました。
ターンも効果的
1vs1で相手をかわすには、単純なターンでも非常に効果的です。
フェイント技のなかにターンが含まれているように、両者には明確に分けられないところもあります。
フェイントだけでなく、ターンもいくつか身につけておくとよいでしょう。
実践的なフェイントを身につけるには?
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カタチだけではない、より実践的な「使えるフェイント」を身につけることができますよ。
※詳しくはこちらの記事「わんばくドリブル軍団JSC CHIBA 最強ドリブル塾【レビュー】」をご覧ください。